彼が私を二度と愛してくれないことなんか、本当はずっと前からわかっていた。 ……それでも。 「――美優!」 『……っ』 思わず、会場に向かおうと思っていた片方の足がゆっくり止まって。 小さく鼓膜を揺らしたその声に、私は引きつけられる。 振り向いた先にいた先生は、静かに笑っていた。 「誰よりも、美優の幸せを願ってる。」 『…うん。』 「だから、幸せになれよ?」 ―…それでも。 私は彼に恋したことを、後悔していない。