だからこそ、キミは。




『先生…。』



私は、美優だよ。

他の誰かではないからね?、と。


まるで訴えかけるみたいに。


先生のワイシャツの袖を握り締めながら、その袖を引っ張る。


白衣の下にあるそれは、まるで儚く揺れてるようだった。




「……。」




強く握っていないと、消えてしまう。

瞬間的に、そう思った。



そう思いながらも、私はワイシャツを離すことしかできなかったの。


消えてしまうことぐらい、わかっていたのに。