だからこそ、キミは。




「爽って、好きな子いるのかなって思って。」

『……。』




ドクン、と。心臓が大きくひとつ、波立ったような気がした。



途端に再現されるのは、モノクロだったあの雨の日のこと。



“俺、美優のことが好きなんだ”




「好きな子がいなかったり、あたしだったりするなら、告白しようと思うんだよねー。」



ドクン、ドクン、と。


梨花の言葉一つ一つに反応するように、私の心臓の大きさが加速している。




…梨花の、本当に好きではないのに告白する考えも嫌い。


そして、きっと。梨花の告白は失敗する。



爽くんは、好きでもない人と付き合うような人じゃないから。



―…爽くんの好きな人は、私だから。