一つ、また一つと。 梨花が作る雫は少しずつ、けれども確実に、地面を真っ黒に染めてゆく。 梨花の目から零れ落ちる涙は、息を止めてしまうぐらい透明で。 まばたきさえ忘れるほど純粋で、やっぱり綺麗だった。 「…好きになってくれて、ありがとう。」 全てが、絵になるんだよ。 涙も、震える声も、赤くなった握られた手のひらも。 危ういぐらい、爽くんしか見えてない目も。 全ては、私には持っていないものだから。