だからこそ、キミは。




「それ、使ってないから、使っていいよ?」



そう言って歯を見せ笑う爽くんが、女の子にモテるのを納得した。



気配りができて、いつだって笑顔で。

人間性で欠けるとこは、見た感じなかったから。




―…ねぇ。


その笑顔は偽り?それとも本物?




『わっ悪いから、いーよっ!』



慌てて髪からタオルを剥がし取り、爽くんに突きつける。



タオルからは佑くんではなく、微かな柑橘類の爽くんの香りがして。


佑くんではない男の人の香りに包まれるのは、少しでも嫌だと思ったの。



…そう言ったら、佑くんは笑ってくれるのかな。