『…嘘、言わないで。』
曖昧な優しさなんか、いらなかった。
自分が出した声は想像以上に震えていて、今にも泣きたくなってくる。
爽くんの前では、泣きたくない。
理由がわからないのに泣かれても、きっと爽くんが困ってしまうから。
何より爽くんに、弱さを見せたくないの。
だって私は、強い子だから。
「だーかーら、嘘じゃないって。
美優は大切な友達だもん。」
私絶対、嫌な顔していたのに。
それでも笑顔をくれる爽くんは、ある意味尊敬する。
爽くんはバックからスポーツタオルを取り出すと、私の髪に被せてくれた。

