帰ろ、帰ろ。
とふたりは楽しげに話しながら、教室を出て行った。
「なーにが“分かるー”かね……分かってねえなあ」
机の上でぐだぐだしながら、あたしは不機嫌に呟いた。
「何も分かっとらん」
なーにが。
無愛想だけど、だ。
さりげなく優しいし、だ。
あいつの何をどれくらい分かって、そんなことほざいてんのさ。
きみたちには3千万年早い。
……そう簡単に分かられてたまるか。
フンッ、と犬のくしゃみのように鼻を鳴らしてふてくされている時だった。
「「あ、夏井だ」」
結衣と明里が窓辺から身を乗り出して、声を揃えた。
「なっ……なにーっ! どこどこ!」
バアーンと椅子をひっくり返して立ち上がり、
「「ギャッ」」
と声を上げたふたりを両サイドに突き飛ばして、
「おどきっ!」
あたしは窓から上半身を乗り出した。
「どっこらしょーい」
3階の窓から身を乗り出し、あたしはサッシに左足を乗せた。
「みっ、翠ーっ!」
今にも飛び降りでもしそうな体勢のあたしに、ギャーと悲鳴を上げて結衣と明里が飛び付いてきた。
「危ねーって!」
「頼むから降りてくれ!」
降りてたまるか。
「ええーい! 止めるな! あたしは本気だ!」
邪魔すんなー、とあたしは叫んだ。
とふたりは楽しげに話しながら、教室を出て行った。
「なーにが“分かるー”かね……分かってねえなあ」
机の上でぐだぐだしながら、あたしは不機嫌に呟いた。
「何も分かっとらん」
なーにが。
無愛想だけど、だ。
さりげなく優しいし、だ。
あいつの何をどれくらい分かって、そんなことほざいてんのさ。
きみたちには3千万年早い。
……そう簡単に分かられてたまるか。
フンッ、と犬のくしゃみのように鼻を鳴らしてふてくされている時だった。
「「あ、夏井だ」」
結衣と明里が窓辺から身を乗り出して、声を揃えた。
「なっ……なにーっ! どこどこ!」
バアーンと椅子をひっくり返して立ち上がり、
「「ギャッ」」
と声を上げたふたりを両サイドに突き飛ばして、
「おどきっ!」
あたしは窓から上半身を乗り出した。
「どっこらしょーい」
3階の窓から身を乗り出し、あたしはサッシに左足を乗せた。
「みっ、翠ーっ!」
今にも飛び降りでもしそうな体勢のあたしに、ギャーと悲鳴を上げて結衣と明里が飛び付いてきた。
「危ねーって!」
「頼むから降りてくれ!」
降りてたまるか。
「ええーい! 止めるな! あたしは本気だ!」
邪魔すんなー、とあたしは叫んだ。



