夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story

この日から、健吾の長い長い戦いの日々が始まった。











駅の駐輪場を出て、あたしたちはのろのろとカタツムリのように学校へ向かった。


案の定、三人揃って遅刻だった。


のろのろしすぎた。


学校に到着したのは、朝のホームルームが始まって5分以上経ってしまった頃で。


「ギリギリセーフ!」


ガーンと豪快に引き戸を開けて飛び込むと、クラスの視線が、あたしたちに集中した。


「ギリギリセーフの大遅刻3兄弟が、胸張って入ってくるな」


呆れ顔のにべちゃんが、黒板に背を向けて腕を組む。


「夏井、岩渕、翠は、ホームルームのあと生徒指導室」


それだけ言って、にべちゃんは淡々とした口調で話を再開させた。


「げー! まじかよー! 勘弁してくれよ、にべ!」


必死の形相で健吾がにべちゃんにすがりつく。


「担任を呼び捨てにすな!」


南高は身だしなみも厳しい方だが、それよりも遅刻にやたらと厳しい。


「頼むって。今日は仕方なかったんだって! もう遅刻しねえよ。なっ、なっ!」


あたしの金髪にはしぶしぶ目をつぶるにべちゃんも、なぜか遅刻にはやたらと厳しい。


すがりつく健吾を笑いながら、補欠は物静かに自分の席に座った。


「なんつうか、どうしてもはずせない緊急事態だったんだって! まじで」