アクアマリンの秘密【外伝】

次に目を覚ました時も由里加はオレのそばにいた。
少し冷たい手が額に当たっていた。



「あ…起こしてしまいましたか…?」

「いや…手の冷たさが心地よくて…。」

「あっ…ごっ…ごめんなさい…私…。」


顔をやや赤く染めてそう言う彼女に少しだけ胸が高鳴る。


「ありがとう。付きっきりで看病していてくれたんだろう?」

「え…どうして…?」

「ずっと眠ってはいたんだけど…なんだかずっと温かいものを感じていたから。
多分…それは君だと思う。」

「そっ…そんなことっ…。」

「君の優しさに癒されたよ。
君は充分立派なヒールの使い手だ。
…良ければ…名前を教えてくれないか…?」

「え…?」

「『君』というのは名前じゃないからね。
オレは君を名前で呼びたいんだ。」

「あ…佐伯由里加と言います。」

「由里加…。
ありがとう、由里加。」

「はいっ…。」



それが全ての始まりだった。