アクアマリンの秘密【外伝】

「え…？」

「だって…私を好きになってくれる理由が…何も思い当たらなくて…。」

「…そんな哀しいこと、言わないでよ。
オレは全て覚えてるのに。」

「え…？」





由里加がくれた言葉全てをオレは覚えている。


由里加とこうして話すようになったのは、星来の記憶が戻ってアクアマリンが安定した頃だった。
オレがディープオーシャンに戻るようになった時…。

オレは働き過ぎたのか、高熱を出した。
だが、誰かに治してもらうほどではないと自己判断して、そのまま帰路についていた。
…不意に視界が歪む。



「危ないっ…。」

「…っ…。」


ギリギリのところでオレを抱きとめてくれたのが由里加だった。
そのまま気を失ったオレを自分の家まで運び、寝ずにずっと看病してくれていたらしい。


「お気づきになられましたか？泉臣白斗さん？」

「…な…なんで名前を…？」

「今、この国であなたのことを知らない人はおりません。」


そう言って優しく微笑んだあの日の由里加をオレは今でも鮮明に思い出せる。