翌朝、なるみはネコが踏みつぶされたかと思うような声で起こされた。


「ぎゃぁーーーーーーー!!!」


「もう・・・何?すごい声。」


「なるみちゃん・・・いつもどったの?
どうして僕に抱きついて寝てたの?」


「覚えてないんですか?」



「いや・・・たぶん、仕事から帰ってすぐここにきたらなるみちゃんがいなくて、しばらくしたら管理人室にもどろうとしてて・・・眠くなって・・・寝てしまったんだと思う。
お酒飲んだおぼえもないんだけどなぁ。」



「お酒の匂いはしてなかったですよ。
でも、ずっと私の背中から抱きついて胸をさわったりして離してくれなくて。
だからなんとか向きだけでも変えてってしたら抱き合ったみたいになって・・・ほんとに困っちゃったんですからねっ!」



「ええっ!!そ、そうなの。なんて僕は・・・??あれ、この匂いは。
なるみちゃん、ウソついたでしょ。」


「あはは~~~バレたか。あははは・・・だって真樹さん爆睡してたんだもん。」


すると、真樹はなるみの両腕を仰向けに押さえてにらみつけた。



「保育園の先生とは抱き合ったの?」


「えっ!抱き合ってなんて・・・あ」



「そっか、いっしょに出かけてたんだね。」


「違います。出かけたんじゃなくて、偶然同じおばあさんを助けただけで。」


なるみはきっとまだ真樹はにらんでると思って、チラッと真樹の顔を見てみたがさっきより穏やかだった。



「問い詰めないんですか?不純異性交遊・・・って。」


「ウソをついていないってわかっているのに、問い詰めるも何もないでしょう。
おばあさんを助けたんだよね。」