なるみにとって、それからの一週間はあっという間の出来事だった。
学校転入、部屋への荷物搬入、虹色の住人への挨拶、歓迎会、真樹の仕事の手伝いのための研修、補習授業とやることに事欠かないどころか、食べることでいっぱいだった生活よりもハードな日々を送っている。
「なるみぃ~やってきて1週間でひどい顔になってるわよ。」
学生寮虹色で最初に友達になった南なつきは、思ったことをはっきり言う性格でなるみが夕飯時にぐったりしている姿を見て思わずつぶやいた。
「そう?高校生活のブランクをこの身で味わってるから仕方がないの。」
「ここへ来た時も倒れちゃったんでしょう。」
そこへ寮長の由起子がその話をききつけて
「オーナーの仕事をしばらく休みにしてもらったらどうかしら。
学生の本分は学問なんですもの。
病欠になる前に相談って形で言った方が会社にもご迷惑がかからないと思うわよ。」
「あ、そう言われると・・・そうなんですけど。でも・・・」
「俺が真樹に言っておいてやるよ。さぁ、元気出さないといけないからな、特製のハンバーグしっかり食って、早く寝ろよ。」
「伊織さん。」
「きゃぁ~~~伊織くん。なるみの伝言っていって、ほんとはオーナーとイチャイチャしたいんでしょ。ぐふふふふ。」
「なつき・・・そんなこといったら。」
「えーーー!なるみはまだ知らないんでしょ。伊織くんとオーナーはラブラブなのよ。
でなかったら、あの年で未婚でいるわけないでしょう。
どっちも女生徒や先生のファンが多いのに、ぜんぜんなんだから・・・。」
「そ、そうなんですか・・・。
寮長もご存じだったんですか?って・・・あれ、いない。」
由起子は3年の友達と並んで、夕食を食べていた。
「そんな話、毎度すぎて聞くのもめんどくさいって。あはははは。」
なつきも笑顔であたりまえの様子で言った。
なるみは伊織と真樹がそういう関係だったのかと思うと、ちょっと安心な気持ちだったり、残念な気持ちだったり複雑な気分になった。

