虹が見えたら

なるみが震えながらそういうと、思いもよらない言葉が返ってきた。


「何かわいいこと言ってるんだ。
このとおりのズタボロなヤツ相手に、憧れだ、好きだ、どきどきするだなんて、なるみはほんとにバカだ。

ほんとに物事ってやつは最初が肝心っていうけど、最初にディープなキスなんてしてしまうなんて俺の痛恨のミスだ。

素直に進学すれば、ああ~満足にちがいない。
でも、俺もいよいよダメになる。
高額の学費を出すんだ。当然、手も出すさ。

家族になりたいって意味は、最初から!・・・葬式で見かけたあのときからなるみがほしかったからだ。

少し出かけてくる。追っかけるなよ!
追ってきたら犯すからな。
あ、なるみが聞きたいことを言ってなかった。


裏マサキはなるみをとてつもなく愛しているからな。
もどってきたら泣いて寄ってくるなよ。」


真樹はなるみを押し返したかと思うと、外は駆けだしていってしまった。



しばらくなるみはぽかぁ~~~んと口があいたままだった。


「う・・・そ。裏って何?」


「とうとう言わせちまったな。くくくっ。
なるみはバカだな。もっと自由恋愛を楽しめるバラ色の学生生活をあのオッサンにしばらられようなんてな。」


「お兄ちゃん・・・どうして。真樹さんの気持ち知ってたの?」