登校はしたものの、なるみは授業に身が入らず急いで寮へともどってきた。
すると、きよしの母親の姿はなく・・・管理室の台所に立つ真樹の姿があった。
「何やってるんですかぁーーーーーー!!」
「あ、おかえり。ごめんね、なるみちゃん眠いのに無理させちゃって。」
「誰が無理なんですか・・・無理ばっかりしてるのは・・・ううん、無茶ばっかりしてるのはあなたの方です。
逃げた私なんか放っておいて、しっかり寝ればいいじゃないですか。
本社との行き来でクタクタになってるのに、どうして夜通し私を捜すんです。
男と逃げた娘なんて放っておいたって・・・」
「放っておけるわけない。
家族なんだから放ってなんておけない。
それに、ちゃんと帰ってきてくれたし、僕の看病までしてくれた。」
「社長なんでしょ。社員もいるのに、こんなところで私の面倒なんてみなくてもいいのに。
管理人だってやってくれる人はいるんでしょう?
私には何でも話せっていうくせに、自分は嘘ばっかり・・・」
「嘘なんて・・・。
仕事のことはなるみちゃんには関係ないことだと思っていたし、会社の形にはなってはいるけれど、僕のは資産の利用のついでみたいなものだから。
ほんとに個人商店だから。
運がいいことに、協力してくれる仲間がいてくれて助かっているのが自慢みたいなね。
それより、なるみちゃん保育の勉強したいんでしょう。
ここから大学へ進みなさい。」
「それは・・・・・。」
「前も言ったけど、学費や必要経費は僕が用意するって言ったでしょ。
それは君がここに来た時の約束事だから。
節目がきたから解約なんて嫌だよ。
それじゃ、家族になった意味がな・・」
「だめなの。」
「えっ!?」

