翌日もなるみは生活費のため、メイド喫茶で働いていたが悪質な客につかまって、店の外へと連れ出されてしまった。
「や、やめてください。痛い、手を離して!」
「金はたんまり払ってやるから、同伴くらいしろよ。」
「そのようなサービスはうちではやってないん・・・・」
「うるさい、払うって言ってんだろ。さぁ、車に乗れ!」
「えっ・・・」
なるみが無理やり男の車に乗せられそうになったとき、数人のべつの男たちが現れ、なるみは道路へと放りだされた。
「きゃっ!」
「さっ、今のうちに行こう!」
なるみが聞き覚えのある声に顔をあげると、真樹が笑って自分に手を差し出しているのが見えた。
「管理人さん!どうして?」
なるみが店へもどると店長から働いた分の給料を渡され、クビを言い渡された。
とりあえず、家へもどる道すがら真樹が歩きながらついてきた。
「ごめん・・・クビって言い方されたらショックだよね。
じつは、あの店の店長に君をクビにしてくれって頼んだのは僕なんだ。」
「そうですか・・・っ ええ!?」
「一度だけでいいから信じてくれないかな。
寮長から君がいなくなったってきいて、僕なりによく考えてみたんだ。
いろんな悪いことがありすぎて、そしていきなりおいしすぎる話が降ってきたんだから疑っても仕方がないと思う。
でもさ、それが嘘じゃないならすがれるところにすがってもいいと思うんだ。
それが君のお父さんからの贈り物だと思って。
どうかな。お金のことが気になるんだったら仕事先もあるって言ったよね。
準備してきたんだ。
ここにすべての書類をそろえて持ってきたから、自分の目を信じてしっかり読んで契約しよう。」

