「予定してくれないかな。俺のことも・・・。
それとも、他に好きな人がいるの?」
なるみは真樹のことを今ここで言ってしまうのは良くないと思った。
せっかく、高校へ通わせてもらって、住むところも与えてもらっているのに、それらをすべて自分から壊すようなまねはしたくなかった。
それでなくても、寮生のことや教生の長野のことで学校側からは目をつけられている。
この間のことは夢の中のことで、真樹の保護の下で真面目な高校生活を送りさえすれば、あとは自分の思い通りに生きられる。
どう考えてもそっちの方がいいに決まっている。
祐司を傷つけずに、気を持たせないのが一番いいと思った。
「あのね、好きな人はいるの。
といっても片思いなんだけどね。
それに高倉くんっていつも女の子に囲まれて人気者でしょ。
まさか、私に付き合ってくれなんて言われると思わなかったし。
クラスだって違うし、付き合うっていっても、友達からそのままっていうか、きっと私といてもつまらないと思う。」
「そんなことないよ。山田は元気だし、仕事はテキパキできるし、優しいし。
それでいて、ちょっとか弱いとこあって、支えてやりたくなるしさ。
ん・・・目が離せないのもあるかな。
とにかく、いっしょに居たいんだ。
部活もダメ、寮だから遊びにも行きづらいとなれば、いっしょに出かけるくらいしかないだろう?
友達からでもいいよ。
俺だって高校卒業してからが、がんばらなきゃいけないからもうちょっと先が長いもんな。
これから、マメに誘うようにするよ。
もちろん、おまえのスケジュールがダメだったらダメって言ってくれてかまわないから。
な、そういうことで。」
なるみはそういわれてしまうと、絶対イヤとも言えないまま友達で納得せざるを得なかった。
そして、祐司たちのサッカー部は祐司の予想していたとおり、ベスト4までには残ったものの準決勝で敗退した。
もとのマネージャーたちも復帰して残念会と復帰祝いを同時に部室でしていたが、そこにもうなるみの姿はなかった。

