思ってもみなかった祐司からの頼みだった。
「でも、マネージャーは慣れてる2人で足りているってきいたけど。」
「それはそうなんだけどさ、俺が山田には居てほしいんだ!」
「えっ・・・だめだよ。
寮長の由起子先輩の頼みで期間限定だからって許可もらったのに、ずっと部活なんて私ダメだもん。
ごめんなさい。」
「じゃ、じゃあさ、部活はいいから俺と付き合ってくれないか。」
「ええっ!・・・・・」
「俺がこんなこといっちゃいけないんだろうとは思うけど、うちの部は県突破できないと思うんだ。
もちろん、気持ちでは負けたくないし、負けてないと思う!
けど、去年のことやいろんな情報を冷静に見れば、優勝まではとても・・・。
それに、俺は将来的にサッカー選手になりたいとまでは思ってないしね。」
「サッカーよりやりたいことがあるの?」
「うん。じつはね、親父と同じ道に行きたいと思ってさ。
親父は一級建築士なんだ。
兄貴もそっち目指してたんだけど、いろいろあって挫折しちゃって。
だからってわけじゃないけど、俺ならやれるんじゃないかとか思って。」
「付き合うって具体的に何をするの?」
真面目な顔つきでなるみが質問したので、祐司は言葉がすぐに出なかった。
「あ、えっと、休みの日にいっしょに映画観に行ったり、遊園地とかゲーセン行って遊んだり、買い物に行ったりとか・・・」
「学生の間はそれ全部無理だと思う。
勉強とバイトと寮の当番や行事でいっぱいいっぱいだから。」
「でもさ~兄貴にはお姉さんの写真とか持って来るって言ってたじゃない。
時間とれるんだろう?」
「まぁ、あらかじめ予定してることは何とか。」

