真樹はクスッと笑ってうれしそうな顔をする。
「あの、私、怒ってるんですよ。
真樹さんの計算づくでだまし討ちされて・・・もう」
「大人はこんなふうに仕掛けてくるんだ。
必ず、好きな女が自分に近付かなきゃならないように追い込んでくる。
なるみちゃんはガードが甘いからね。
怖い目に遭わせておかないと、手遅れになってしまいそうで。」
「それじゃ、私があっちこっちに色目使ってるみたいじゃないですか!」
「そうは言ってないけど、この間の先生みたいになるみちゃんって好かれちゃうから。
健気に労働している姿を見て、ささえてあげたくなるタイプ。」
「私はそんな弱い子じゃありませんけど・・・。」
「そうだね。頑丈で頑固だ。」
「もう!どっちなんですか。からかわないでください。」
「ごめんね~。かわいい子はつい、いじめたくなるんで。
ほんとになるみちゃんはかわいいから。
外に出すのが心配で心配で・・・あ、もうちょっと多めに男よけのしるしをつけておこうか?」
なるみは、ささっと出口の方へ逃げていき、
「そうはいきませんからねっ。真樹さんのえっち!」
と言って、自分の部屋にもどっていった。
((このくらいしておけば、悪い虫にも警戒はしてくれるだろう。))
それからサッカー部にはなるみを入れて3人の臨時マネージャーが活躍することになった。
3人とも初めてなので、初めは要領を得なかったが、2日目には欠席している3年のマネージャーと携帯で会話ができたので、わからないところを聞きながら仕事をこなした。
もとのマネージャーたちが復帰できるのは県大会後からということだった。

