なるみは言葉に行き詰ってしまった。
この前のとき以来、自分から思ってもいいかとメールを送ったのに意識してしまうと、はずかしくて真樹を避けてしまっていた。
「もう飽きられてしまったかな。
前は学校の帰りも直接『まさきさ~ん』って寄ってってくれたのに。」
「それは補習もしなきゃいけなかったし・・・。
今はほら、とくにお話することもなかったから。」
「すっかりおやじ扱いされてる気がする。」
「そんなことないですって。
もしかして、相手にしてもらえなくてすねちゃってるとか?」
そういうときの真樹の表情はなるみにとっては胸キュン攻撃を受けるようなもので、思わず真樹の側にいって触れたくなってしまうものだった。
「すねてるかもしれない。
なるみちゃんが僕をほったらかしにしたら、伊織に狙われてしまうかもしれないでしょ。
仕事でいないときもあるけど、毎日来てくれないと僕はさびしくてこんなことしてしまうじゃないか。」
真樹はなるみの鎖骨の上あたりに強くキスをした。
「あっああーーーーーっ!!なんてことするんですかぁーーー!」
「だってほら、明日から男子ばっかのところに行くんだから、男避けだって。」
「こんなビミョーなところにキスマークなんてあったら、みんなに何て言われるか。
体育の授業に出られないじゃない。」
「体操服着ていれば見えないって。ここまで見えるっていうのは、男が故意に服を引っ張ったり脱がせたりしないとさ~」
「真樹さん・・・もしかして、こういうことするの、最初から計算づくだったんじゃ?」
「そうだよ。あたりまえでしょ。
大切な嫁入り前の娘に何かあったらいけないじゃないか。」
「もう!そんなこといって大人げない。
嫁入り前の娘に何かしてるのは真樹さんじゃない!」
なるみは思わずそう叫んで、ふくれっ面になった。

