「え~と・・・学校裏の森を抜けたら学生寮って・・・。
ものすごくボロかったらどうしよう。」
そうつぶやいて2分もすると、ログハウスを思わせるような木造のアパートが建っていた。
門柱のところを見ると 「流沢学院学生寮 虹色」との表札がかかっていた。
「えっと・・・管理人さんってどこにおられるのかしら・・・。
とにかく、寮の学生に聞いてみようかな。
でも、これで学園までもどらなきゃいけないなんて言われたら・・・私もう歩けないよぉ。」
なるみは寮の門の前でしゃがみこんでしまった。
すると、なるみに気がついた男性がなるみに話しかけてきた。
「どうしました?気分でも悪いんですか?」
「あ、あの・・・決してアヤシイ者ではないんです。
私、この寮の管理人さんに用があって来たんですけど、管理人室ってどこかがわからなくて・・・。
ちょっと長距離移動してきたものだから、足が痛くて・・・。」
「もしかして、山田なるみさん?」
「え、どうして私の名前を・・・」
「はるばるようこそ。僕があなたに手紙を送った須賀浦です。」
「へ?あれ・・・?およっ!
だって、私にお手紙くださったのは女性の方では?
須賀浦マキさんって。」
「マキ?ああ~真樹をマキって読んでしまったんですね。
ときどき間違われることあるんですけど、僕は須賀浦マサキと呼んでください。」
「あわっ、わわわっ・・・す、すみません!
文章がとてもきれいで丁寧で、女性だとばかり思ってしまって。
それで、あの・・・私。
見学にと・・・お手紙見てすぐに来ちゃったんですけど失礼でしたか。」
「いいえ。すぐに来ていただけてうれしいです。
管理人室はこちらですのでついてきて下さい。
荷物は僕が運びましょう。」
「あ、あの・・・はい。」

