「えっと君はD組の・・・」
「高倉祐司です。」
「リュックはD組に届けておくから、うちの娘よろしくな。」
「はい。」
長野は最後列の方へとまた歩いていってしまった。
なるみはどうにもあがけないことにあきらめて、学校まで祐司の背中にしがみついていることになった。
「ごめんね、重いでしょう。道も悪いのに・・・」
「山田はちっちゃいからぜんぜん平気。」
「まだ自己紹介してないのに、どうして?」
「おまえ有名だから。すげえ貧乏だったんだろ。
それで寮のオーナーの会社でバイトしながら勉強してるってきいた。
ちっちゃいのにパワフルだよな。」
「私、そこまでいわれるほどちっちゃくもないんだけどなぁ・・・。」
結局、祐司は保健室までなるみを連れて行った。
「もう大丈夫だな。じゃ俺はこれで。」
「ありがとう、高倉くん・・・って・・・あっ」
床に片足で立ってみて、祐司がかなりの高身長だと実感したなるみだった。
「高倉くんの背が高いんだ・・・。」
足の治療を受けて、なるみは寮へと帰っていった。
帰宅するなり、同じ学年の寮生がなるみの部屋に押し掛けた。
なるみは、みんなに心配かけたとわびたが、どうも自分のことを心配して駆けつけてくれたわけじゃないという雰囲気だった。
「ねえねえ、高倉くんとあれからどうなったの?」
「どうって・・・保健室で降ろしてもらったよ。」
「で・・・それから?」

