なるみは少し体が熱くなった気がした。
((伊織さんが、私のことをなるみって呼び捨てで呼んだ。
慣れたってことかな。んで・・・特製って何?どういうことなの?))
どきどきする気持ちを押さえるように、なるみは教室へと向かった。
その後、クラスの逆の順番に並んで棚丘山まで徒歩で向かった。
学校前の森を抜け、山道に入ると、祠や鳥居があって、まるでタイムスリップしたかのような道のりだった。
「やまだ!おまえは日頃がお疲れらしいから、足元には気をつけろよ。」
「長野先生!それ、誰からきいたんですかぁ?」
「誰からだろうな・・・けっこう有名だったぞ。」
「もう元気になりましたから!」
「それはいいことだ。」
なるみは周りから、お疲れな娘だと思われているのがちょっぴりショックだった。
((あまえっぱなしってわけにはいかないんだから、しょうがないじゃない。))
お昼になり、なるみは虹色寮生のところへ行ってみんなでお弁当のふたを開けた。
「わあ~~~~」
みんな伊織の作品といってもいいお弁当に感激している様子だった。
南なつきのお弁当はから揚げ主体のイタリアンなお弁当。
トマトパスタやトマトの色がする混ぜご飯など、とてもおしゃれでブランド品好きでハデ好みのなつきの個性が出ていた。
「なるほどねぇ。じゃ、私の個性って伊織さんはどう見えるんだろう。えい!
ええーーーーーっ!!」
なるみが弁当箱のふたを取ると、そこには真樹の好きなパジャマのクマさんの顔があった。
「うそっ・・・どうして伊織さんがパジャマの絵柄を知っているの?」
はずかしくなって隠そうとする前に、なつきたちに見つかってしまった。

