虹が見えたら


なるみはにこっと笑って

「真樹さんは私を助けてくれました。守られているから学校へ通えるんです。
とてもありがたいですよ。
手首を傷つけてるのかと、もうびっくりして飛びかかっちゃいました。」


「なるみ!」


「うわっ」


真樹はなるみに覆い被さり抱きしめた。


「ありがと。なるみがいるかぎり僕はがんばれるよ。
なるみは絶対に僕が守るから。
でも心配だなぁ・・・。
学校の中はどうなっているのか。

もし、なるみが男に傷つけられたらって思うと僕はきっとそいつを殺してしまいそうだ。」



「な、何を言ってるんですか。
私にはそんな人いないですって。」


「今はね。
でも、近い将来、誰かに恋して僕のことも周りも見えなくなるかもしれない。
だから、見えなくなる前に相談して。
本当に君の幸せを考えてくれる人なら、その人しか見えなくても大丈夫でしょう?

そうでない人なら、僕はどんなに君に嫌われたとしても、引き離すからね。」


「過保護すぎま・・・うくくく・・・くるしい。」



「うるさい、素直に言うことをきかないとなるみの大切なファーストキスを奪ってやる。」


なるみはまだ見たことのない荒々しい真樹を見た。
少しだけ薄目を開けて真樹の顔を見ると、真剣で冷たい目をしていた。
体の力がどんどんぬけていくような気がした。



「あ・・・ごめん。ムキになりすぎた。痛い?
ごめんね。こんな時間には会わない方がいい。
部屋の前まで送るから、早く寝なさい。」


なるみが自分の部屋にもどってから、真樹は自分の寝室で息を吐いた。


「ふう・・・なんてことを。何をやってるんだ・・・俺は。
保護者失格にならないようにしなきゃって思っても、あんなに心配されたことなんてないから・・・。

うれしいやら、離したくないやら。
なるみがどんどん愛しくなってしまうよ。」