翌朝、なるみは自分の部屋の異様な気配で目を覚ました。
「あれ?なんか音が・・・においもあれ?」
ベッドから降りた途端、足元にゴリッとした感覚がして声がした。
「痛っ!!!」
「えっ!?あの・・・うそっ・・・」
なるみは目をゴシゴシこすりながら、自分のベッドのすぐ下の床の上で寝ていたと思われる人物の顔を見て驚いた。
「真樹さん?いつ・・・いつからここに寝てたんですか?」
「あ、おはよう。びっくりさせちゃってごめんね。
たぶん2時頃くらいじゃないかと思うんだけど、管理人室が閉まっててね。
鍵を会社の方に持ち帰られちゃったみたいで。
仕方なしにマンションにもどってみたけど食べるものもないし、マンションにあったのはなるみちゃんの部屋の合い鍵だけ。
枕と薄い布団は持参したから気にしないで。ちゃんと眠れたし。」
「いえ、そういう問題じゃなくて・・・真樹さんは郁未くんの家に居たんじゃないんですか?」
「ああ。そしてその郁未くんから帰るように言われた。
帰らなければ、社長にならずに山田なるみをさらって逃げてやるってね。」
「それで仕方なしに?」
「いいや。喜んで帰ってきた。
須賀浦直樹の後は息子である彼が適任だ。
最初はとても嫌がっていたはずなんだけど、昨日僕に自分が跡取りになるって宣言してね。
何か、なるみちゃんと話でもしたのかな?」
「ううん。私は聞いてもぜんぜんわからなくて。
ただ、彼は大崎郁未として社長になるんだ。
須賀浦真樹みたいな社長になるんだって聞かされたわ。」

