虹が見えたら

やっぱり・・・と思いながらもかわいいモノ好きの真樹がすごくあせった顔をしながら上半身裸で運転している今の状況になるみの顔はほころんでしまう。



真樹のマンションの部屋に入ると真樹はすぐに風呂場の浴槽にお湯をはった。

「体が冷えてしまったでしょ。お湯につかって温めないと。」



言われるままになるみがゆっくりとお風呂に入ってから出てみると、脱衣場に下着もキャラクターの服も揃えて置いてあった。


「ここではほんとに私は子どもね。
これ着てダイニングへ行ったら、飲み物と食べ物と並べてあるんだろうな。
そうだよね。それが真樹さんだから・・・。」



なるみは少しため息をつきながらサイズぴったりの新品の服を着ると、両手で軽く頬をたたいてダイニングへと向かった。



「あれ・・・?」



なるみがテーブルの上を見ると、冷えたオレンジジュースは置いてあるが食べ物はなかった。
そして、真樹の姿もダイニングにはない。
とりあえず、ジュースを飲みほして、部屋をのぞいてまわる。

どこにも真樹の姿はなく、リビングのテーブルの上に便せんが置いてあった。



『なるみちゃん、お腹すいてたらごめんね。
食べ物の用意までしていられなくて。
伊織に連絡しておいたから、もうしばらく部屋で待っててください。

僕は今のままではなるみちゃんの彼氏にはなれません。
保護者のままはもう嫌なのです。
離れてみて、前よりずっといっしょに居たいと思ったし、久しぶりに会った君を見て、ドキドキせずにはいられませんでした。

きっとかわいい服が似合わなくなってると思う。
いや、悲しんでるんじゃないよ。
大人の女性っぽくなったという意味で、緊張した。