沢井が自宅に戻ると真樹の姿はなく、メモだけが残されていた。
「やっぱりそうだよな。」
沢井は海でなるみと駆け回ったり、波打ち際で水をかけたりして服を汚したので家に立ち寄ったのだった。
もちろん、なるみも誘ってみたが露骨になるみが真樹を気にして寄りたくない顔をしたので無理強いはできなかった。
なるみは虹色寮の自室へもどった。
伊織のマンションから通学はしているが必要最小限のものしかないとやはり不自由には違いない。
寮のシャワー室で砂を落とそうと着替えを持っていくと、
「子どもでもないのに、全身砂まみれなんて理由をきかせてもらおうか?」
「ま、真樹さん!?どうして・・・まさかのぞき?」
「誰もいないシャワー室のぞいても仕方ないんじゃない?
それに、僕はここの管理人なんでね、掃除の点検はしないと。」
「だって、最近はパートのおばちゃんと知らないおじさんが来てたわ。」
「あのおじさんは社員だから。
でも、僕がもう帰ってきてるんだから自分の仕事にもどってもらうことは普通でしょ?」
「それはそうだけど・・・」
「で、どうして砂まみれなんだ?」
「あ、だから沢井さんと・・・」
「何ぃ!!沢井に襲われたのか?」
「ち、ちがう!ちがいますってば。砂浜でちょっと鬼ごっこして走ったり波打ち際でこけたりしたから・・・。」
「あの沢井が走って?」
真樹は不思議そうになるみの顔をのぞきこんだ。

