取材陣と思われる人が部屋へ入ろうとするところを沢井は強引に話をきいてきた。
TSWコーポレーションの負債額がかなり大きく、多数の社員のリストラが予定されていたところ、那賀建設の令嬢が真樹のことを気に入って婚約、結婚を条件に負債を肩代わりするという裏があるらしい。
「そ、そんな・・・。
真樹さん、私には自分の気に入った人をじっくり見定めてなんて言ったくせに。」
「このままだとあっさり婚約して、先の予定も組まれてしまうみたいだけど、どうする?」
「どうするって言われても・・・私は。
私にはどうすることもできません。
真樹さん、私には何の連絡もなしだし、言う必要もないと思って・・・」
「じゃ、もうここを離れるかい?
居てもつらいだけでしょう?
とりあえず、部屋へ行って飲み物でも飲みましょ・・・え!?」
なるみは沢井の言葉を聞き終らないうちに真樹の正面にあたる記者席から大声で叫んだ。
「真樹のバカッ!勝手するならアメリカでやってよね!”」
「な、なるみちゃん!????」
なるみは叫んだ途端、沢井の方へと走っていき、2人で部屋へと逃げだした。
沢井の押さえておいた部屋にとびこんで、2人は冷水を飲んだ。
「ああ~びっくりした。
なるみさんの行動力は前から評価していましたけど、まさか記者席で叫ぶとはね・・・。
あはははは・・・ほんとに君といると飽きないよ。」
しばらくして、部屋のチャイムが鳴り、たたく音がした。
沢井が外を確かめ、ドアを開くと、真樹が倒れ込んできた。
「真樹さん!どうしたんですか?」
「どうしたじゃない!なるみ!なるみは無事なのか?」

