長野もほっとした様子で、学生寮虹色の前までなるみを送っていった。
「遅くなってごめんな。これからは気をつけるから、がんばって勉強しよう。
じゃ、明日!」
「ありがとうございました。さようなら~」
なるみは緊張していたせいか、ホッとため息をついた。
「なるみちゃんのタイプの人? 緊張がとけた顔してる。」
「きゃっ!! ま、真樹さん。どうして?
いるならすぐに出てきてくださいよ。」
「だから出て来たんだけど・・・。
夕飯なのにまだ帰ってこないから、学校に問い合わせた。」
「あっ、それで教頭先生が・・・。
すみません、心配してくださったんですか。」
「ああ。心配で心配で、ここから出て迎えに行こうとしてたぐらい。」
「ウソ。戻ってくるのがわかってたくせに。」
「ウソじゃないって。
もし、僕がここに居なかったら、なるみちゃんあのイケメン先生に」
「何もされてません! あ、ごめんなさい。
真樹さんに勉強みてもらう予定が、時間ずれちゃいました。」
「そんなことはいいって。
女子寮だからね、誰にも傷ついてほしくないし、
かといって規則でしばるのもかわいそうだから。
僕も伊織もできるかぎりは目を光らせてないとね。
さ、ごはん食べよう。」
「えっ夕飯まだなんですか?」
「親が学校でがんばってもどってくる子どもをほったらかしにしてご飯食べ終わってるわけにはいかないでしょ。
今夜は3人でディナーさ。」
「伊織さんも、待っててくれたんですか。あ~~~申し訳ないなぁ。」

