なるみが携帯電話の時計を見ると、あと2分ほどで開店するようなので、店の前で開店を待つことにした。
そして洋菓子店の入口が店員さんによって開けられると、なるみたちは最初のお客様として席へと通された。
店内の様子は明るくて、ケーキと同じくカワイイ感じがした。
ただ、店員やパティシエの様子を見る限り、女性スタッフは多いどころか少なく感じた。
しかも、注文をとりにきたのは自分たちと変わらないような男子高校生っぽい。
そういえば、店内を歩いている男性スタッフはみんな高校生に見える。
「お客様、いかがなさいましたか?」
なるみを誘った友人たちはいっせいに注文をとりにきた男子に集中していたのだった。
「あの・・・あなたも他の店員さんも高校生っぽく見えるな~と思いまして。
朝から働いていたとしたら、皆さんは・・・学校とかは?
あ、大きなお世話ですよね。」
「ああ、ずっとそれ聞かれてます。
僕たちは、城琳学院高校の生徒なんですよ。」
「ええーーーーーーーっ!!!」
「調理師やパティシエ志望の者と僕たちみたいにサービス業志望の生徒がプロの先生に教わりながら店をしているんです。
もちろん、授業もちゃんと受けてますから、お店は交代になりますけどね。
それと、レジ横にも書いてあるんですが、どんなにかわいい女の子がいても、店員とお客として接する時間は勉強のうちなんで、ナンパもできません。
私のこと見向きもしないわって怒らないでくださいね。」
「あはははは・・・そういうルールならOKです。」
「面白いお店ね。」
なるみは城琳学院がいろいろと新しい試みをしているということはきいていたけれど、こういうお店も、そして学生寮も事務長の沢井の活躍あってのものなのかと思った。
そして、お腹もふくれて上機嫌に店を出て行こうとしたときだった。
「なるみさん!」

