虹が見えたら


放課後、クラスの女子4人がワイワイ楽しそうに話しているので、なるみは近寄って事情をきいてみた。

新しい洋菓子のお店がオープンするらしい。


「そのお店ってどこにできてるの?」


「あのねぇ、城琳学院のちょうど裏よ。
南門の斜め前あたりかな。」


「男子校の前ってことは経営者は女性で男狙いかな?」


「そうよねぇ。普通は女子校の近くにお菓子のお店なんてつくるよね。」


「城琳学院か・・・。」


「なるみ・・・?どうかしたの」


「ん?ううん。男子校の前って変わってるね。
でも、このチラシのケーキとかすごくかわいい」



「なるみもそう思う?絶対かわいいよね。
じゃあさ、なるみも行ってみない?」



「えっ、今日なの?」



「そうそう、朝からオープンしてるよ。
もし混んでたら、ケーキだけでも買って帰ろうよ。」


「そうだね。」


なるみはケーキをお土産に持って帰れば、かわいいもの好きの真樹と素直に話せそうな気がした。




帰宅途中に洋菓子店へ行ってみると、張り紙が入口に貼ってあった。

『ご来店誠にありがとうございます。
本日オープン後、予想以上に多数のお客様のご来店をいただき、ご用意させていただいておりました洋菓子が完売となりました。

そこで心苦しいのですが、急遽お店を準備中にさせていただきまして、16時30分から再び開店させていただく所存でございます。
今後の開店スケジュールは明日の開店時に店頭の張り紙にてご連絡させていただきます。・・・・・・・・・・・』