しかし、なるみが急いで自分の部屋にもどろうとするときに、真樹はなるみの首筋から肩にかけて服をひっぱった。
「これはどういうこと?」
「えっ?」
「とぼけるどころではない状況だと思うよ。
3か所も好きにされて、僕に何もなかったと言い切るの?」
なるみはコクンと頷いた。
実際にこの印以外は触れられていないのだから、真樹にうるさく言われても胸をはって悪くないと主張できるとなるみは思った。
すると次の瞬間、真樹はなるみの首筋に吸いつくようにして舌を這わせてきた。
「い、いやっ、やめて。
ほんとに何もないの。話をしてただけ!あとは沢井さんが疲れて寝てて時間になったら起こしてあげただけなの。
ほんとよ。
男避けが今回はないからって・・・」
「僕がつけたのを知っているなら、前も今度もなるみの首筋を見てることになるね。
十分狙ってたんじゃないの。」
「そんな言い方・・・。
みんな自分と同じだと思わないで!
それにそもそもこうなったのは、沢井さんに書類を届けさせた誰かさんのせいなんだからねっ!
責任とってほしいのはこっちの方よ。
フン!」
「逆切れか?」
真樹が怯んだ隙になるみはそそくさと部屋へと走り去ってしまった。
そして翌日も、なるみはさっさと食事を済ませて真樹を露骨に避けて登校した。
真樹は伊織に沢井のことを相談したが、伊織はまたか・・・とも言わんばかりのような冷やかな表情で
「保護者としての心配じゃないな。
今のおまえさんの顔はまるで、好きな女を寝とられてしまった男そのものだ。
なるみの交際相手については、日々勉強だみたいなことを言ってたんじゃなかったかな。
同じ男の様子とは思えないけどな。」

