「あの・・・私を人質にとるつもりなんですか?」
「いいや。そんな卑怯なことはしない。
それを言いたいから君を連れ出して、宣言してる。
正々堂々とビジネスさせてもらうからね。
それと・・・せっかく休日を強制的にとったんだから、頼みがあるんだけど。」
沢井はなるみを連れて海岸沿いの小屋へと入った。
「いいかな。」
「はい。時間がきたら起こしますからね。」
沢井はなるみの左手を握ったまま小屋の中のベッドで眠りだしたのだった。
「ほんとにお疲れだったのね。
体もお疲れだったでしょうけど、心もずっと緊張してたんだろうなぁ。
なんだか、人が気持ちよさそうに寝てるのを見てると私も眠くなってきちゃった。」
そして、なるみの携帯のアラームが小屋の中に鳴り響くと、沢井はびっくりして飛び起きた。
「うう・・・もう時間ね。」
なるみの声がすぐ耳元で聞こえた沢井は、次の瞬間声をあげた。
「おわぁーーーーー!
な、なるみさん・・・。どうして?
僕はもしかして、寝ている間にあなたに何か失礼なことでもしてしまったとか?」
「え?ううん・・・とてもよく寝ておられましたよ。
私も思わずつられちゃって眠ってしまったくらいに。」
「えぇ!つられたって・・・。
もう・・・君って人は。
あのときも付き添ってくれてましたよね。
今日も安心して眠れました。
お礼を言わないと・・・でも、このシチュエーションだから気が変わりました。
今日は男避けもないし・・・少しだけ。」
そう言うと沢井はなるみの首筋に唇をつけた。
当然のようになるみが沢井を押し返そうとするが、力で勝てるわけがなく、なるみは思わず、ぎゅっと目をつぶった。

