2012年3月10日。

この日をもって、ひとまずこの作品を書く筆を置こうと思います。

本当はもっとたくさんの言葉を綴るつもりでいましたが、生来の不精が実にお恥ずかしいことに今回も顔を出して結果68篇に留まることと相成りました。

いささか中途半端な数では御座いますが今ここに至りまして『きりの良い形』で終わるというのも、なんだか自分自身の中で想いを自己完結してしまうような気がして、なるほど、これはこれで良いのかもしれないと思っています。

なぜならあの日はこれから先も我々の心の中に残り続けるのでしょうから。

まぁ、こじつけの過ぎる言い訳なのかもしれませんが(苦笑)


この作品を目にした方々の中にはきっと様々な立場の方がいらっしゃったと思います。

実際に被災された方、遠方で知った方、現地に入って支援をされた方や後方支援された方。

今回、この作品を執筆するにあたってどのような立ち位置で言葉を綴るか非常に悩みました。

結果、出来る限り“遠く”からの言葉を綴るよう心がけました。

非当事者である以上すべて、自己満足といわれても仕方がありません。

しかしだからこそ、必死に相手の心に届くように言葉を綴るには「自分は非当事者である」という想いを明確に根っこに据えなければと思ったのです。

なにひとつ、誰ひとりの心にも届かないかもしれない。

けれどもしかするとたったひとつだけでも、誰かの心に届くかもしない。

届いて欲しい。

その想いを強く抱くためには、相手に『届ける』ためには『届く』立場になるわけにはいかなかったからです。




そんな想いで綴った言葉たち。

どれかひとつでも“アナタ”に届きますことを、心より願います。

そして1日でも早い、復興を心よりお祈り申し上げます。





名も知らぬ“アナタ”へ

和宮 樹より