泣きそうになった。
それは紛れもない事実。
秋山さんと話していたら、なんだか悔しいって気持ちが大きくなっていて。
それがどうしてなのか分からなくて。
どうして秋山さんの言葉が自分にささるのか分からなくて。
「今日は残業しようか?」
「え?」
「大丈夫。鈴木が少し席外すって課長に伝えてるからさ」
事務所の前でのやりとりはその事だったんだと気付いた。
廊下で、ただ顔を合わせただけだったのに。
どうして夏川さんは……
「だから、少し吐き出しちゃえばいい。俺も付き合うし?」
「やっ、だけど」
「今日は事務処理で内勤だし。俺、今はエリちゃんの為に何かしたいと思ってさ」