卒業式前に、少しだけ来年度の話を、真剣に話したことを式中思い出す。


「俺達は来年受験がある。俺と秋仁は国立狙いだし、葵はアメリカ志望だ。10月には新体制に移行するだろう」


「で、気も早い気がしたんだけどね、俺達、次の生徒会長、もう決めてるの」


公務をしていた私と春風は、その手を止めて、皆川会長達を向く。


「次って……決めるも何もひーちゃんでしょ?誰もが強さ認めてて、頭いいし」


春風は、相変わらずへら、と笑う。濃いがくどくないそのへらへら顔は、不思議と爽やかに見える。


しかし、私は気付いていた。この場にいる、私も含めた4人のメンバーが、同じ考えなのを。


「いや……次は、お前に引き継ぐよ、春風」


皆川会長の穏やかだが、重みのある重低音の声に、春風は返事が出来ない。


「確かに、ひよこは強く、頭も切れる。だが、リーダーにする器じゃねぇ。何たって自分中心だ。その点、お前は同学年ばかりでなく、今や、俺達の学年にも慕われている」


「言い方は腹が立つが、認めざる得ないね。私はまとも組やギャル共に、未だにちょっと怖がられてるから」


私がお手上げポーズを取ると、アッキー先輩も頷く。