「おい、今日も公務がたんまりあるんだろ?何してんだよ?」


「見りゃわかんだろ、ティータイムだ」


ドアに立ち尽くす私に対し、いつもにも増して優雅に紅茶を飲んでいる皆川会長。


「俺のバイト先の店長がクッキーをくれたんだ。早めのバレンタインだって。ひよこも食べろよ」


まだ動かない私に対し、アッキー先輩がニカっと爽やかに笑い、席へ促す。


座ると、絶妙なタイミングでアッキー先輩の紅茶が現れる。


「やっぱり、アッキー先輩の紅茶飲みながら息抜きって、サイコーですよね。んー、良い放課後だ」


紅茶を飲みながら、ほう、と感嘆の溜め息を漏らす、私より先に生徒会室に来ていた春風。


「そりゃ、アッキーの紅茶は皆大好きだからねぇ」


「間違いねぇな」


ホント、この紅茶が私らの唯一の癒しだからな。


紅茶……そうだ、いいこと、思い付いた。


「なぁアッキー先輩、今日の紅茶の粉、少し分けてくんない?」


「ん?構わないけど。お前家で紅茶飲むの?」


私の言葉に、アッキー先輩を始めとし、不思議そうな顔をしている生徒会メンバー。


ふふん、見てろ、明日のバレンタイン。全員驚かして感動で泣かせてやんよ。