「別れて、欲しいんだ」 夜景の見える、お洒落なレストラン。 私はそこで 高校生から八年間付き合っていた彼氏にフラれた。 「なんで!?他に、好きな人出来たの?」 年甲斐もなく、私は彼にすがり付く。 彼は静かに首を横に振る。 「違うけど、さ。 もう俺達、駄目だと思うんだ」 「駄目……?」 「………明日、出ていくよ」 彼は真っ白なテーブルクロスの上に 小さい銀色の鍵を置いた。 微かに響いた金属の音が 私達の終わりを告げていた。