ただのビンなのに、睦月の中では沖田からの手紙だと確定された。
ゆっくりとこちらに向かってくるビンに、まだかまだかとそわそわする。
そして待ちきれない睦月は、ビンを求め海に入った。
革靴だけ砂浜に放り投げられ、バシャバシャと制服を着たまま水をかき分ける。
どれだけ濡れようが構わない。
腰辺りまで浸かり、手を伸ばしてギリギリ届くか届かないかの距離までたどり着いた。
「あっと少し・・・・・」
精一杯伸ばすが、数センチが届かない。
もう一歩足を前にやる。
だが、
「きゃあっ」
突然深くなっていたらしく、睦月はバランスをくずし、頭まで浸かってしまった。


