空には2羽のカモメが飛んでいる。
「わぁ~」
睦月は子どものように空を見上げ、波の音とカモメの鳴く声を聞いた。
と、その時だった。
「きゃっ」
予想以上に波が折り返し、睦月の足を濡らした。
驚いてその場足踏みで少し身を引く。
だが、逆効果だった。
睦月は落ちていたモノを踏み、バランスを崩してその場に倒れ込んだ。
「ぎゃーーーーっ」
無駄に大きな声を出す。
素早く立ち上がるが、制服が砂で汚れてしまっているのは言うまでもない。
友達が転んでそんな状態だというのに、3人は駆け寄りもせず、しけた目でその様子を見ていた。


