「長い、夢を見てた。ものすごい幸せな夢……」 険しい表情に囲まれ、睦月だけが暖かく頬を染めた。 皆が何と声を掛けていいか分からないといった雰囲気で、睦月と目を合わせようとしなかった。 きっとこれは何を言っても、どう必死に足掻こうと、誰も理解はしてくれないだろう。 睦月はそれでも良いといった表情で、窓の外を見た。 その時、遠くで波打つ海がしっかりと視界に入ってきた。 と同時に、睦月はあるものを思い出した。