娘の「かしこまりました」より早く、睦月の声が上がる。
「こ、これ、買うんですか!?」
さっきまで恥ずかしげに下を向いていた睦月だが、驚きのあまり沖田を見上げた。
「ダ、ダメです!あたしこんな高いの貰えませんっ」
いくら睦月でも、分かっている。
いくらかは知らないが、着物が高価なことくらい。
「それにあたし、ずっとこっちに居るわけにはいかないし・・・持って帰ることもできません。だから・・・・」
沖田は何も言えなかった。
お金のことならどうってことないのだが、確かに戻れば着る機会などない。
メニュー