会いたい。会いたいの。 自分の気持ちに気付いた時から、それだけを願っていた。 正気を失っていたのかもしれない。 睦月は海に向かって走り出した。 ビンに追いついた時はもう、足は浮いていた。 大学生になるために買った新しい服が水を吸い込んで体が重い。 何度も溺れそうになりながら、ビンに付いていく。 どれくらい経っただろう。 睦月は振り返った。 その瞬間、ハッと息をのんだ。