突然、強く腕を掴まれたせいもあって、彼女は驚いた様子だったが、肩をすくめていった。

「私の出生に関わるものらしい。剣舞に使う飾剣が村になくてね。長に渡されたの。」


「本物よ。」
オリビアの目の色が、真剣なものになる。

「貴方を切る事だってできるわ。」

複雑な表情をした彼女に、ヴァイスは、眉間にシワを寄せ言う。


「君、・・・剣の心得なんて・・・ないだろ?」

何か、他にも尋ねたそうではあったが、明日、ディック=モンローに、約束の書簡を委ねるからと、手渡す約束をして、宿場近くまで、送ってくれた。


この先、きっと
こんな時間は巡ってこない。


別れがたい感覚を
オリビアは覚え、戸惑う。

二人の間には
距離が遠退く材料ばかり増えていくのに・・・


惹かれる思いを
止める事が難しくなってきていた。