「じゃあ他には?」


グループに男の子が多いなら、好きな子くらいできないの?
ばあばの積極的な問い掛けに、私は口を一の字に結んだ。

あんまり今はその話題に触れて欲しくない。


ヴー、ヴー、ヴー。
  
 
突然、テーブル台に置いていた携帯が振動する。メールが来たらしい。誰だろう?

作業していた道具等をテーブル台に置いて、何気なく中身を開いてみる。瞬間、私は携帯を落としそうになってオロオロと挙動不審。

な、な、なんでケイさんがメールっ…、深呼吸して中身を開く。


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 From:田山圭太
 件名:初メールです!
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 送れるか確認のために
 メールしました!

 これから
 メール共々宜しく!

┗━━━━━━━━━┛
 
 
数行の短いメール。

だけどこれだけで気持ちが舞い上がってしまいそうだった。

私は手早くメールを打ち返して、『こちらこそ宜しくお願いします^^*』と簡単なメールを送信。

まさかケイさんがこんな風に挨拶メールを送ってくれるなんて思いもしなかった。


ど、どうしよう胸がドキドキしてる。
 

携帯をいつまでも見つめていると、「ふふっ」向かい側から笑声が。

顔を上げれば、ばあばがニコニコと笑顔で好きな人が出来たんだね、と指摘。

ビンゴな発言に私は身を小さくすることしか出来なかった。

ばあばになら、包み隠さず…言える気がする。


「うん…、ちょっと気になる…、好きな子…できて」

「あらあら、どういう子なの?」


「不良グループの中で一番大人しい…、それこそ私と同じ地味の類で真面目な子。髪染めとか一切してないんだ。おかげで親近感を抱いてる。

あ、ヨウさんの舎弟なんだよ。喧嘩はできないんだけど毎日ヨウさんと喧嘩に参戦してる。っていうのは語弊かな。

でもでも、本当に不良の舎弟として頑張っていて。自転車の腕が凄くて。不良の皆とも隔たり無く喋ることができて! ―――…私の憧れの人なの」