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――――三年前 江戸




「時雨。」


「陽斗…。」


江戸の街並みが一望できる丘でぽつりと座っていた時雨。


何かあると必ず此処へ来ていたのだった。


「また何か言われたのか?」


「んー…。まあ、いつものことだよ。」


黄金色の髪を持ち、右目は灰色をしている時雨は、村の者から忌み嫌われ、よく陰で言われるのだった。わざと聞こえるように。


「無視をすればいいんだけど、“何で産まれてきたんだろうね”なんて言われたら流石に辛いね…。」


そう言って眉尻を下げる時雨を陽斗は抱き寄せ、静かに言った。


「時雨は産まれるべきして産まれたんじゃよ。もし、時雨がこの世におらんかったら儂は生きてゆけんのぅ…。」


「ははっ…。ほんと、大袈裟なんだから…。」


「それに陽輝もじゃ。」