月夜に舞う桜華




「………ついてこないでよ」

「家こっちだし」

「……じゃあ離れてあるいて」

「無理」


(………苛つく…)


なんで朔夜に遭遇したのだろう。否、他の連中と遭遇するよりは幾分かましなのかもしれない。


「…………元仲間を殴る気持ちはどうだ?」


靴で地面を擦る音が夜だからか大きく聞こえる。


「別に、あれは違う」


あたしが、桜姫の時の皇蘭の連中ではないから。
痛みも何も感じない。


「………そ」

「言われなくても、ちゃんと片付ける」

「そういう意味じゃない」


ガッと腕を掴まれて、朔夜は立ち止まるとあたしも自然と立ち止まる。


見ると真剣な顔であたしを見下ろしている。


「………今からでも遅くない」

「……何が」