月夜に舞う桜華




「おい、聞いてるのかよ?」


思考を巡らせていると、肩を捕まれた。


刹那、あたしの中で何かがプツリと音を立てて切れる。


「あたしに、触るな」

「は?今の状況わかっていってる?」


5対1。普通に考えればあたしは為すすべもないといったところだろう。
普通に考えれば。


「………今なら、見逃す」


無益な争いはあまりしたくない。
あたしからの最後通牒。


「何?強がってる?」


男達は、最後の足掻きだと思ったらしくニヤニヤとあたしに近づく。


「………別に、強がってなんかいない」

「ふーん」

「じゃあ、強がりじゃない所を見せてみろよ」


出来るならな、とバカにする男達に、あたしは、ニヤリと笑う。


「――――言ったな?」


バカなのはお前達だよ。