月夜に舞う桜華




それと同時に僅かに苛立ちも覚える。


「そうなの……知ってる?」

「知ってるも何も俺等皇蘭!」

「何でも知ってるよ~」


顔を見合わせニヤリと笑う男達にあたしは小さくため息をついた。


(………雅龍の言う通り、ね)


いつの間にか、皇蘭はこういう奴等の溜まり場に成り下がってしまったらしい。


………あいつが総長なら、仕方ないか。


「貴方達が皇蘭?」

「そ。だから俺達が知ってることなら何でも教えて上げるよ」


キミ、可愛いし。


(可愛いは関係あるのかな?)


不思議に思いながら、じゃあ、と口を開く。


「総長の―――米川和、知ってる?」


米川和……あたしが総長だった頃、副総長だった奴。一番、信頼していた。


大切な仲間だった、奴。