「ふぅ………」
椅子に深く腰掛けてあたしは息を吐く。
朔夜をようやくまいて、得られた一人の時間。
図書館に逃げ込んで、誰も入れないように厳重に封じた。
しばらくは一人でいられると思う。
「疲れた………」
昨日、今日で自分の周りの環境が大分変わってしまった。
朝なんて、男達が頭を下げてくるのだ。
(あれは絶対に雅龍の奴ら)
他の生徒が何事かと遠巻きに見ていた。
更に、足を進める度に雅龍の幹部に遭遇する。
最悪だったのは赤髪だ。
あたしが勝ったはずだのに、まだ勝負はついていないだの、戦えだの、五月蝿すぎる。
何も知らなかった先週に戻りたい気分だ。
「とりあえず、放課後だな……」
安心して下校出来るように考えなきゃ。


