月夜に舞う桜華




桜姫は死んだと思っていた。そう言われたから。
しかし、ここにいる俺を含め四人が桜姫の遺体を見てはいない。
あいつが、言ったから俺達は信じ、墓にも行ったんだ。


「どこだ!?今、どこにいるんだ!?」


掴みかかりそうな勢いの智詩に、俺は、待てと制止した。


「なんだよ!早く教えろよっ」

「早く桜姫にっ」

「…………逢って、どうする?」


三人に問いかけた。
今、桜姫に会いにいったとして、何をする?
俺達はもう皇蘭じゃない。
桜姫も、違うだろう。


昔には、戻れないんだ。


「………関係ねぇよ……」


ポツリと潤が呟いた。


「忘れたわけねぇだろ?桜姫に誓った事!」

「潤……」

「俺は、忘れたことは一度もない」


真っ直ぐ俺を見つめる潤に、隣の智詩も頷く。